ウイルス肝炎グループ

<研究背景>

 C型慢性肝炎に対する治療はインターフェロンを用いない経口薬の出現によって副作用がなく、かつ高い確率でウイルス排除が出来るようになりました。一方、B型慢性肝炎に関しては、核酸アナログ製剤の出現によって安全にウイルスをコントロールできるようになり、かつ予後も改善されていますが、ウイルスの完全排除は困難であるため長期の内服治療が必要です。また、インターフェロン療法の効果は限定的です。そこで、我々はB型肝炎ウイルスの排除、あるいは治療の中止を目指して研究を進めています。

<研究のアプローチ>

 当センターおよび国内外の各共同研究施設より収集された検体を用いて様々なサイトカインを中心に測定し、詳細な臨床情報を元に、その臨床的意義を解析しています。また、臨床にて興味ある知見が得られた場合は、細胞培養系および動物実験にて確認を行っています。

<主な成果>

 最近ではFactor X(特許申請中)とB型慢性肝炎治療効果との関連を発見し、現在投稿中です。Factor Xは抗ウイルス効果を有し、かつ宿主免疫に重要な因子であることが判明していることから、今後B型慢性肝炎の治療効果予測、あるいは新規治療戦略に大きく寄与できるものと考えています。また、Factor Xに関する臨床治験を検討しています。

文責 : 村田 一素

国立国際医療研究センター
肝炎・免疫研究センター
肝疾患研究部

〒272-8516 千葉県市川市国府台1-7-1
電話番号 047-372-3501/FAX 047-375-4766