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消化器癌化学療法(抗がん剤を用いた治療)

消化器癌の治療は、主に内視鏡治療および外科治療が中心となりますが、全身への転移が見られ切除が難しい場合は、抗がん剤を用いた化学療法や放射線治療による治療が行われます。
外科的な手術後に補助的に抗がん剤を併用することで、生命予後が改善することが知られております。

がん化学療法の進歩

  • 近年、分子標的薬をはじめとする様々な薬の登場、投薬レジメの研究により消化器癌の生存期間が延長され、また入院期間短縮や副作用軽減など、生活の質改善がみられるなど大きな進歩を見せています。
  • 特に大腸癌においては、1990年代に12か月程度であった生存期間はFOLFOX/FOLFIRI療法の登場や分子標的薬の上乗せ効果により、30か月を超える報告がみられるようになりました。
  • 優れた経口抗がん剤の登場により長時間に及ぶ点滴治療が不要となり、入院期間が大きく短縮してきています。さらに嘔気嘔吐に対する様々な制吐剤が開発され治療中の生活の質も改善が見られてきました。
  • 一方、切除不能な膵臓癌のように現状での生命予後の改善が難しい疾患があるのも事実ですが、これらの癌も研究の発展によって今後大きく改善していくことが期待されています。
  • 消化器癌の化学療法においては、治療内容のみならず副作用対策などにも日々様々な進歩が見られ、常に最新の情報を入手し実践していくことが求められています。

当院での化学療法の実際

  • 当院では、消化器癌に対し消化器・肝臓内科および外科において、分子標的薬などを用いた最新の治療方法の情報を入手し、大腸癌、胃癌、膵癌、肝がんなどに対し様々な化学療法を行っております(図1、2)。
  • 化学療法の中には強い副作用を伴う治療がいまだに多く含まれ、生活の質を落としてしまうことや、治療を受けても十分な効果が得られないことがあります。当院においては「元気で過ごせる時間をできるだけ長く保つ」ことを目標とし、年齢や基礎疾患、社会的背景などを考慮のうえ、患者様一人一人に合った治療メニューを提案し、患者様および御家族と話し合った上で治療法を選んでいけるよう努めております。
  • 治療中に生じた副作用に対しても様々な対策を行い、薬の減量や休薬期間などを併用しながら生活の質を保ちながら治療を続けていけるよう努めております。

図1 消化器・肝臓内科 化学療法患者一覧(2015年度~2018年度)

年度 胃癌 食道癌 膵臓癌 大腸癌 肝臓癌 胆管癌 胆のう癌 その他 合計
2015年度 5 1 3 3 27 0 0 1 40
2016年度 4 3 3 1 36 1 0 0 48
2017年度 3 1 3 3 31 2 1 0 44
2018年度 3 4 0 2 17 1 0 0 27

 

図2 国府台病院で用いられている化学療法レジメ(平成25・26年度)

食道癌 FP(5FU/シスプラチン)療法、ドセタキセル療法
胃癌 分子標的薬(Trastuzumab)を併用したゼロータ/シスプラチン療法
TS-1/シスプラチン療法、パクリタキセル療法、イリノテカン療法
大腸癌 分子標的薬(Trastuzumab、Cetuximub、Panitumumab)を併用した
mFOLFOX6療法、FOLFIRI療法、XELOX療法
イリノテカン療法、分子標的薬単剤療法など
膵臓癌 ジェムザール療法、ジェムザール/ナブパクリタキセル療法、TS-1単剤療法
胆管癌 ジェムザール/シスプラチン療法
肝がん 低用量FP療法、肝動脈化学塞栓療法など
悪性リンパ腫 R-CHOP療法

 

(文責 赤澤直樹)