-2肝疾患研究部 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター

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B型肝炎、C型肝炎における免疫応答(総説)

本研究により想定されるB型急性肝炎早期における自然免疫応答
 B型、C型肝炎ウイルスは世界で5億人を超える感染者がいます。これらの肝炎ウイルスは肝臓に炎症をおこし、年月を経て肝硬変、肝がんを発症します。肝炎ウイルスはヒトの体内で生き延びるために、巧妙にヒトの免疫反応から逃れます。この総説では、近年のB型、C型肝炎における免疫研究の近年の進歩に関して、自然免疫を中心に紹介しています。新しい免疫療法を開発する上で、ヒト臨床検体を用いた包括的な研究がますます重要性を増してくると我々は考えています。


IDO (Indoleamine-2,3-dioxygenase)はB型急性肝炎における非細胞傷害性ウイルス排除に重要である

本研究により想定されるB型急性肝炎早期における自然免疫応答
 成人期におけるB型急性肝炎では、B型肝炎ウイルス(HBV)の排除率は95%以上です。一方、B型慢性肝炎においては、HBV排除は年率1%未満です。私たちは、IDOがそれぞれの病態におけるHBV排除率の違いを決定する重要な分子であることを明らかにしました。IDOは必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝酵素ですが、感染症において免疫抑制作用と抗ウイルス作用の二面性を持つことが知られています。急性肝炎患者において、血液中のIDO活性は感染早期に顕著に上昇していました。一方、慢性肝炎患者の急性増悪期ではIDO活性の上昇を認めませんでした。ケモカインによって肝臓に遊走したナチュラルキラー(NK)細胞と樹状細胞がHBVの感染した肝細胞にIDOを誘導し、IDOが肝細胞を破壊せずにウイルスを排除する効果を示すことを発見しました。これは、HBVの完全排除を目指す治療法の開発に重要な示唆を与える結果であると考えられます。


日本人におけるHLA-DPB1遺伝子の個別遺伝子型とB型慢性肝炎の関連

B型慢性肝炎に対するDPB1アリルの相加効果
DPB1遺伝子の遺伝子型頻度をB型肝炎患者群と健常対照群とで比較した結果、感受性DPB1アリル(DPB1*05:01DPB1*09:01)を1つ有する症例より、2つ有する症例の方がさらに慢性肝炎になりやすくなることが分かりました。同様に抵抗性DPB1アリル(DPB1*02:01DPB1*04:01DPB1*04:02)についても、1つ有するより2つ有する方がさらに慢性肝炎になりにくくなることが分かりました。また、異なる種類の抵抗性DPB1アリルを一対で有する症例の方が、同じ種類の抵抗性アリルを一対で有する症例よりもさらに慢性肝炎になりにくくなったことから、異なる抵抗性DPB1アリルを有することでより多くのタイプのHBV抗原を認識することが可能となり、T細胞への抗原提示において有利になると考えられます。興味深いことに、DPB1*05:01と抵抗性DPB1アリルのいずれかを一対で有する症例は、B型慢性肝炎になりにくかったことから、DPB1抵抗性アリルが優性効果を示すことが明らかとなりました。


非侵襲的な肝線維化評価法Virtual Touch Quantification・フィブロスキャン M・XL プローブの皮膚-肝表距離による使い分け

ソホスブビル(SOF)/レジパスビル(LDV)配合剤の治療効果
 超音波を利用した肝硬度測定機であるVirtual Touch Quantification(VTQ)・フィブロスキャンMプローブは、簡便な肝線維化評価法として普及していますが、肥満のために測定不能・困難例が存在するという欠点があります。そのため、肥満者測定用としてフィブロスキャン XLプローブが開発され、欧米でその有用性が報告されています。しかし、欧米と比較して小柄な日本人におけるXLプローブの有用性を検討した報告は未だなく、また普及機であるフィブロスキャン M プローブ、VTQと同時に比較を行った研究は過去にありません。本研究では、肝硬度の測定信頼性に焦点を当て、3種類の機種を比較しました。結果として、フィブロスキャン Mプローブ・VTQは皮膚-肝表距離が22.5mmを超える場合はその測定信頼性は低下しますが、フィブロスキャン XL プローブはその傾向はありませんでした。その一方で、皮膚-肝表距離が17.5mm未満と短い場合はVTQの測定信頼性は優れていました。本研究より、正確な肝硬度の評価には皮膚-肝表距離に応じて、機種を使い分けることが大切であることが示唆されました。



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